トロンボーンってなに

 金管楽器の一つで、スライドと呼ばれる部分で、管の長さを変えて音程を変える楽器で、音を出す仕組み自体はトランペットなどと同じく、唇の振動を楽器に伝えるというシンプルなもの。音域はトランペットの1オクターブ下で、中低音を受け持つことが多い楽器で、派手さはあまりないものの、暖かい音色が素晴しい。
 テナー、バス、アルトの3種類が多く用いられていて、各々が人間のコーラスと同じ音程を出せるように作られている。これは、トロンボーンがもともと教会での演奏に使われていたため、賛美歌などに合うように作られてきた歴史からなのではないでしょうか。昔はソプラノトロンボーンもあったらしいが、今では使われていない。また、一部のオーケストラなどでは、チューバと同音域のコントラバストロンボーンも使われている。また、トランペットと同様にピストンを押すことで音を変えることのできる、バルブトロンボーンもあり、容易に速いフレーズを吹くことができるが、音の問題などがあり、あまり使われてはいない。


ジャズトロンボーンの歴史 



はじまり

 ジャズという音楽はいまから100年以上前に、南北戦争後のアメリカど、軍楽隊から払い下げられた、ラッパ(トランペットなど)を使って、黒人たちがブルースなどを演奏しているうちに生まれてきたらしいです。
 一般に伝統的なジャズといわれる、ニューオリンズジャズ(ディキシーランドジャズ)では、トワンボーンは非常に中心的な役割を果たしました。このころのジャズには、あまり複雑なアドリブはなく、多くの優れたプレイヤーが生まれていました 。

スウィングジャズ

 次第にジャズはダンスミュージックとして、人々の間に普及し始めました。そして、生まれたのがスウィングジャズです。これは、ビックバンドと呼ばれる、15人程度のバンドで、演奏されることが多く、トロンボーンはブラスセクションの一つとして、バンドの低音部を支える役割を果たしました。また、ビックバンドではグレンミラーをはじめとする、トロンボーン奏者のバンドリーダーも多く生まれました。

ビバップジャズ
 1940年代ごろになって、ジャズは一気に変化します。チャーリーパーカー、ディジーガレスピーらによって、ビバップジャズがつくられました。これは、アドリブを主体とするジャズで、スピード感溢れるフレーズを即興で作り出すという、楽譜にない演奏法で一気に時代の主流になっていきました。
 しかし、トロンボーンでは細かいフレーズは構造上、吹くのがたいへん難しく、ジャズの主役はトランペットやサックスになっていきました。
 その状況で、トロンボーンジャズに革命を起こしたのが、J.J.JOHNSONです。彼はトロンボーンでは不可能とさえ思われたビバップフレーズを自由に演奏して見せた、最初のプレイヤーといってもいいでしょう。そのテクニックはあまりに見事であったため、レコードに”バルブトロンボーンではありません”という、注意書きまで書かれたほどです。J.J.の登場によって、トロンボーンはようやく時代の表舞台に戻ることができたといえるでしょう。

ハードバップ
 ビバップには、だれが演奏しても、似たようなものになりがちな欠点があり、それを打開すべく、いくつかのスタイルがつくられていきました。その一つとして、黒人を中心としたハードバップジャズがつくられ、人々の間に広がりました。これは、よりブルース的なフィーリングの強いジャズで、黒く、ファンキーな演奏が素晴しいです。トロンボーンジャズの超名盤である、ブルースエットは、ハードバップの仕掛け人ともいうべき、ベニーゴルソンと、カーティスフラーのコンビによって生みだされました。

フリージャズ
 ジャズのアドリブは、コードやスケールにどうしても縛られてしまうという点があり、発展性に欠ける面がありました。これを打破すべく、それらをこわすという試みがなされました。それが、フリージャズです。これは、すべて自由というわけではなく、きわめて高い理論に裏付けられた、高度な演奏でしたが、一般にはあまり受け入れられることはなかったようです。トロンボーンでは、ラズウェルラッドやグレシャンモンカー3世などが有名です。

ファンク、フュージョン
 ジャズが時代の中心から少しはなれていくにしたがって、ロックなどの8ビートをジャズにも取り入れようとする動きが出ました。また、電子楽器もジャズに大胆に取り入れられるようになり、フュージョンやファンクがつくられていきました。この分野では、トロンボーン奏者の活躍が目立ち、ファンクではJB’Sのフレッドウェズリー、フュージョンではクルセイダーズのウェインヘンダーソンなどが活躍しました。

最近のトロンボーンジャズ
 トロンボーンという楽器は、どうしても今まで人材不足であったと言わざるを得ません。これは、一つには非常にスピード感のある演奏が困難なため、若手が出てこなかったことがあるでしょう。しかし、近年、トロンボーンにはさまざまな人材が揃いつつあり、非常に面白くなってきたと言えるでしょう。とくに、超人、レイアンダーソンやロビンユーバンクスなどはリーダーとしてもかなりの能力をもっており、面白いところです。