言葉のキャッチボール

漫才や落語と同じ、そんなことを言われても困るかもしれない。

でも、アドリブは”言葉”だということ。即興でそれを組み立てるということだとまず考えてみてほしい。

プロの芸人が舞台で即興で話すとき、やはりトップの有名人は面白い。若手の芸人はつまらない。もし、素人であれば、おそらくもっと悲惨なことになってしまうのだろう。

皆さんだって、いきなり数百人の前に出されて話してくださいといわれても困ることだろう。

アドリブも言葉である。音楽という言葉だと思えばいい。

いきなり何もないところから出てくるわけじゃなく、ちゃんと単語があり、文法がある。人によって話す癖があって、面白く話す人や、支離滅裂になってしまう人がいる。

音楽を言葉だと考えると、いろいろな部分が見えやすくなるのではないだろうか。

作曲された曲とは、作家によって書かれた文章で、それによって感じ方は違うかもしれないが、何度読み返しても違いはない。芸術的なものは感動を与えるし、楽しいものもある。プロの演奏家は、楽譜の通りに演奏し、その決められた言葉の中で、感情をいかに込めるかによって評価が変わる。

一方、ジャズのアドリブは即興で言葉をつむぐ。だから完成度という意味ではあらかじめかかれたものよりは落ちるかもしれないが、毎回違うものを見られる。また、作家(演奏者)によって癖や作風が違う。人によってはあらかじめ用意されてきたかのような芸術的な展開を見せることが出来る人もいる。

双方は異なっているように見えて、実は音楽という同じ言葉を使って演奏される。そして、その言葉や理論も基本的には同じものが使われている。どちらにも違いはないのだ。


[ホームへ] [次にすすむ]