トロンボーンでアドリブ

これは単なる思い込みかもしれないが、トロンボーン奏者はアドリブをやりたがらないように思う。

確かに楽器の構造上の問題もあるし、タンギングやテクニック的に難しいのもあるだろう。でも、かといって出来ないわけでもないし、そんなにテクニックにこだわる必要もない。なぜ、みんなアドリブを避けるのか?

やっぱり、吹奏楽やクラシック出身のプレイヤーが多いのがあるのかもしれない。以前に書いたように、妙にプライドを持ってしまって、人前で恥をかきたくない。ビックバンドの譜面を吹いていれば満足してしまうのかもしれない。(ソロまで完璧にコピーするのは、どうかと思うが)

でも、そんな理由なら、サックスやトランペットでも同じだろう。なぜ、トロンボーンなのかを考えると、今までどういう演奏をしてきたか、ということに思い当たった。

メロディーを吹く機会が、トロンボーンは少ないのだ。オーケストラや吹奏楽では、トロンボーンは見た目の派手さの割に、伴奏パートとして扱われる。どちらかというと、裏打ちやハーモニーという場面で活躍する。主旋律をとるということに慣れていないのだ。つまり、人前で目立つのが苦手な人が多いのではないだろうか?

たとえば、トロンボーン奏者の人は楽器を持って、「ルパン三世のテーマ」とか急に言われたときに、すぐにメロディーを吹くことが出来るだろうか?頭に浮かんだメロディーを楽器で表現できるだろうか?私のこれまでの経験では、サックス吹きに比べると、トロンボーンはそれが出来る人が少ないように思う。アドリブは感じた瞬間に音を出さなければ出来ない。とにかく、頭の中と楽器が連動しなければならないのに、である。

もし、トロンボーンでアドリブをやりたいと考えているのであれば、ぜひ、メロディーをたくさん吹くことをお勧めする。楽譜がないほうがいいだろう。あってもよいが、暗記するように心がけたほうがいい。体が思ったとおりのメロディーを奏でることが出来るようになれば、アドリブなんて怖くないのだから。


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