鼻歌で練習する

楽器を思ったとおりに操ることが出来る。これがアドリブするためには最も必要なことの一つだろう。

耳から入った音をすぐに演奏することができるか。そんな感覚を磨いていくことが不可欠だ。もちろん、すぐに出来るものではない。楽器と触れる時間を出来るだけ増やし、体が感じるようになるまで繰り返し練習することが必要だ。

だが、楽器を操れても、どんなフレーズを吹いたらいいのかわからないのでは、演奏はできないだろう。

プロの演奏からフレーズを盗むのもいい。教則本からヒントを得るのもいいだろう。

だが、なかなか楽器を吹く時間を作るのは難しく、練習も疲れを伴うので、長時間はつらいはずだ。効率のよい練習法はないのだろうか?

私が実践しているのは、鼻歌で練習するのである。

CDを流しながら、プロのアドリブを真似るのではなく、プロのアドリブと掛け合うように、別のフレーズを歌う。別のフレーズというのが、ミソで、何もなしで歌うのはつらいが、伴奏があり、お手本の演奏がある。そこに自分の音を混ぜることはそんなに難しくないのだ。たとえば、カラオケでメロディーにハモりをつけることは、そんなに難しくないと思う。そんな感覚でもいい。とにかく、違う音を歌う。そうしているうちに、コードの感覚もつかみやすくなるし、おいしいフレーズを盗みながら、自分の歌い方を見つけることも出来るようになる。

車の中や、防音の比較的よい部屋の中なら、声を出して歌うとさらに効果大である。人間の声とトロンボーンは基本的に似通っていて、タンギングをしてやらないとはっきり音が変えられない。ジャズならではのビート感、アクセントをまねながら声に出すことで、トロンボーンでの演奏も自然と上達してくる。ボーカリストがスキャットで歌っている、アドリブをまねることが出来れば、アドリブが怖くなくなってくるのではないだろうか?(レイアンダーソンなどは、アドリブとボーカルのフレーズがそっくりである)

楽器を吹いていないときでもアドリブを意識する。そうしているうちに、自然と音がつかめるようになると思う。


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