息のスピードをコントロールする


息のスピードをあげる

 息のスピードをあげると言っても、方法は一つではありません。大きく分けると、

  • 腹筋によって、肺からの息のスピードをあげる
  • 口腔内を小さくして、スピードを変化させる
  • 唇に力をかけ、出口を狭めてスピードをあげる

 の、3つくらいに分けられるでしょう。
 水道とホースで考えてみればいいでしょう。
 水をできるだけ遠くまでまこうとするなら、水のスピードをあげてやらなくてはなりません。そのために、

  • 蛇口をより多く開く
  • ホースを細くする
  • ホースの先を指でつぶす

 という事をするでしょう。つまり、人間でも同じことです。
 そして、水道で水をまく時、これらを単独でするのではなく、すべてを一度に行うことが重要なように、高音を出すためには、すべての条件が揃っていることも必要になるでしょう。
 では、それぞれを見ていくことにしましょう。


息の量を増やす

 これは、ある意味では簡単です。たくさんの息を入れてやるだけでいいのですから。
 ただ、ここに重要な落し穴があります。とくに、クラシックを中心にプレイしてきた人に多いですが、太い音色を好むあまり、息も太くするために、息の量にたいしてスピードが圧倒的に遅い場合があるのです。高音は瞬発力的な力も必要になろので、できるだけ多くの息を入れてやるようにしましょう。そのためには、腹筋や背筋をフル稼働して、息を送ってやる必要があります。私はいまでも高音のトレーニング中に背筋がつりそうになります。息の量を増やしながら、できるだけ速いスピード。それがポイントです。

口腔内の形

 楽器を吹くとき、無意識に口腔内の形を変化させていると思います。低音では、アやオに近い形で、中音域ではエに近くなり、高音域ではイに近くなります。さらに高音では、ティーに近い発音がベストでしょう。舌の位置にも注意します。自分の最高音付近では、ほとんど針の穴を通す感じに近くなります。

唇のコントロール

 高音を出そうとしているのに、出ないという人のもっとも大きなな問題になっていると思われるのは、口先で音を出そうとすることです。しかし、唇の筋肉はそれほど強くないため、無理やりに力を入れるあまり、疲労も早く、肝心な場面で音がでなくなってしまうようです。
 唇の役割は、あくまで息を音に変換することであるのだから、無駄な力が多ければ多いほど、音色は汚くなり、音程も安定しなくなります。そしてなにより疲れます。やはり、息のスピードを落とさないように、且つ、息の圧力に負けないように力を入れて、音を出す必要があります。
 唇の息の当たる部分も、高音になれば必然的に狭くなります。つまり、ホースの先をつぶす要領です。かなりの高音でぱ、針の穴でも通すつもりでいかなければなりません。


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